リジェネラティブ農業 体験プログラムの開発と実践

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2026年01月09日

「リジェネラティブ農業 体験プログラム」は、Livelyと神奈川県藤沢市の特定非営利活動法人ma,icca!! にこにこ農園が実施する一般向け農業体験プログラムです。 本プログラムは実際の農の現場に身を置いた体験と対話を通じて、次世代につながる持続可能な食と農の在り方を自分ごととして考える機会の提供を目的としています。 Livelyは、リジェネラティブ農業の実践現場であるにこにこ農園において、参加者の方々が「知識」だけでなく、土に触れ、匂いを感じ、農園の方々や参加者同士の対話、味わうといった五感を通じた体験のプログラムを共同で実施しています。

背景・課題

日本の農業を取り巻く環境は、複数の構造的な課題を抱えています。日本の食料自給率は1965年以降減少を続け、現在はカロリーベースで約38%と低水準にとどまっています。特に小麦・大豆・果物の自給率は低く、畜産飼料の多くも海外からの輸入に依存しているのが現状です。加えて、日本では依然として農薬や化学肥料、重機を多用する慣行農法が主流であり、その結果として、農薬による健康リスク、土壌侵食や生物多様性の損失、さらには気候変動への影響といった課題が指摘されています。

こうした背景から、単に環境負荷を減らすだけでなく、土壌や生態系を再生し、より良い状態へ導くことを目指す「リジェネラティブ農業」が、国内外で注目を集めています。国際的には、2017年にパタゴニアなどが協働して創設したRegenerative Organic Certification(ROC)が代表的な第三者認証制度として知られており、環境配慮に加え、土壌の健全性やアニマルウェルフェア、社会的公正性を含む包括的な基準として制度の発展が進んでいます。

一方、日本においては、リジェネラティブ農業に特化した第三者認証機関が国内に存在していないことが課題となっています。農林水産分野では、2021年に策定されたみどりの食料システム戦略において、農薬・化学肥料の削減や有機農業の拡大が打ち出されており、現在は産・官・学・民が連携しながら、リジェネラティブ農業に関する研究や勉強会を進めている段階にあります。

参考:Regenerative Organice Alliance (公式サイト) 
参考:農林水産省「みどりの食料システム戦略」

リジェネラティブ農業を実践する「にこにこ農園」

リジェネラティブ農業とは有機物を増やし、土壌の修復・改善を目指す農業方法のことです。具体的には土を耕さずに農作物を栽培する「不耕起栽培」や土壌回復のための「被覆作物の活用」、農薬や化学肥料を使わない「有機栽培」、などが挙げられます。不耕起栽培により回復した土壌はCO2を貯留することから、リジェネラティブ農業を自社のバリューチェーンに取り入れることで、企業にとっても、気候変動をはじめとしたESG観点のメリットがあるといわれている農法です。

2008年に設立した神奈川県藤沢市の特定非営利活動法人ma,icca!! にこにこ農園では「農薬や化学肥料に頼らない野菜づくり」をモットーに、約17年間有機栽培や不耕起栽培といったリジェネラティブ農業に力を入れてきました。また、農業の場だけでなく、マルシェを中心とした顔の見える野菜販売や農福連携の実施、新規就農研修生の受け入れなど、多様な人が関わるきっかけとなる場づくりを行っています。

私たちLivelyは、にこにこ農園のビジョンである、年齢・性別・障がいの有無等に関わらず、誰もが農業を通じて活躍できる「ユニバーサル農園」の在り方に共感したことをきっかけとして、今回の共同プログラムを実施するに至りました。今後は企業向けの福利厚生プログラムの企画・実施を予定しており、にこにこ農園の農業を軸としたプロジェクト実績とLivelyの企業とのネットワーク・共創実績を活かした取組みを進めていきたいと考えています。

参考:特定非営利活動法人ma,icca!! にこにこ農園(公式サイト)

プログラム内容

リジェネラティブ農業体験プログラムでは、参加者は種まき・収穫といった体験を通じ、自然とのつながりや食の在り方を考えるきっかけを得ることができます。プログラムでは農園で収穫した野菜を使った特製スープや手作りの味噌、梅干し、地域でとれた新米を味わうことができる交流会も実施しており、農園の皆様や参加者との対話の中で、持続可能な食糧自給の在り方や未来を見据えた食の選び方について考えを深めることができます。

Livelyはプログラムのファシリテーターとして、より幅広く食や農業に関心のある方が繋がり・学ぶ場を持てるような体験を重視したプログラムの企画・設計・運営を行っています。

2025年10月に実施したプログラム第一回目の様子はこちらからご覧ください。

参考:土を耕し、人を育てる リジェネラティブ農業を実践する「にこにこ農園」【前編】
参考:土を耕し、人を育てる リジェネラティブ農業を実践する「にこにこ農園」【後編】

担当者からのメッセージ

にこにこ農園の井上さんとは2023年の夏に初めてお会いして以来、今日まで対話を重ねてきました。井上さんの「有機農業は栽培方法だけでなく、人も有機的につながりあうことが大切」という言葉に共感し、にこにこ農園の目指すユニバーサル農園の在り方とLivelyのビジョンに重なりを感じたことをきっかけとして共同プロジェクトを始動するに至りました。 本プログラムでは、にこにこ農園の実践の現場に触れながら、参加者の皆さまが食と自然のつながりを深く感じられる体験を提供します。畑での種まきや収穫した野菜を味わう時間は、リジェネラティブ農業の本質を身体で理解する貴重な機会になります。また、農園の皆さまや参加者の皆様との対話を通じて、“未来につながる食の選択”について考えを深める場となれば幸いです。 Livelyは、この学びと対話のプロセスをより多くの方に届けるため、リジェネラティブ農業への理解を促す体験設計と場づくりを担っています。リジェネラティブ農業を軸にした企業研修やサステナビリティ教育などへご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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