登壇報告:3/13(金)「『農山漁村』経済・生活環境創成プラットフォーム第3回シンポジウム」

2026年03月23日

3/13(金)「『農山漁村』経済・生活環境創成プラットフォーム第3回シンポジウム」が開催され「インパクト×農山漁村~企業の継続的な取組に向けた環境づくり~」のセッションではLively合同会社 CEO種田毅がモデレーターとして登壇しました。

背景・目的

昨年度、地方創生における取組みの一環として、「農山漁村」経済・生活環境創成プラットフォームが立ち上げられました。これを機にテーマごとに専門部会や検討会を開催し、案件形成を進める上で参考となる事例の収集及び手引きの作成、新制度の検討を行ってきました。本シンポジウムでは、官民共創による地域の課題解決や、農山漁村価値創造を図るための取組事例の紹介、ディスカッションを行いました。

シンポジウム概要

名称:「農山漁村」経済・生活環境創成プラットフォーム第3回シンポジウム
日時:2026年3月13日(金)13:00-18:30
会場:農林水産省7階講堂(東京都千代田区霞ヶ関1-2-1)
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シンポジウム内容

シンポジウム冒頭の「オープニングセッション~農村政策と地域の未来を語る~」では、農林水産省農村振興局 河村仁農村政策部長と株式会社Ridiloverの安部敏樹 代表取締役が登壇し、農山漁村における官民連携の取り組みと課題、今後の方向性についての議論を行いました。

次に、昨年開始された新たな制度「農山漁村振興への貢献活動に係る取組証明書」取得企業・団体の表彰式が実施されました。表彰式では、証明書を取得した39の企業・団体の取組概要と趣旨が紹介されました。

セッション:「インパクト×農山漁村~企業の継続的な取組に向けた環境づくり~」

「インパクト×農山漁村~企業の継続的な取組に向けた環境づくり~」では、農林水産省が検討・準備中の「インパクト証明書」制度への期待や課題、企業で取り組む際のポイントが議論され、合同会社 CEO種田毅がモデレーターとして登壇しました。

登壇者:
種田 毅 氏(Lively合同会社 CEO)※モデレーター
井上 孝矩 氏(株式会社JTB ビジネスソリューション事業本部 営業開発プロデューサー)
川越 広志 氏(株式会社日本格付研究所 サステナブル・ファイナンス評価本部評価部インパクト分析室長)
宮下 優一 氏(長島・大野・常松法律事務所パートナー 弁護士)
百瀬 則子 氏(ワタミ株式会社 執行役員/SDGs推進本部本部長)

・「インパクト証明書」とは

まずセッション冒頭、モデレーターの種田がインパクト証明書の概要について説明しました。この中で、インパクト証明書は、企業による農山漁村の課題解決の取り組みが行われ、継続の見込みがあり、社会・環境インパクトの創出につながっていることを公的に示す仕組みであることが示されました。​また、そのための目標・戦略・指標・マネジメントといった測定・管理プロセスを整備することがポイントとなる事、またインパクト証明書を企業の情報開示や資金調達につなげていく可能性について触れました。

オンライン配信での様子

・インパクト証明書への評価と期待

次に登壇者よりインパクト証明書への評価・期待が共有されました。
まず、インパクト証明書のような外部評価は、社内評価だけでは捉えきれない社会インパクトを可視化できる点で有効であり、事業の信頼性やブランド価値の向上、人材採用、資本市場での評価向上など、さまざまなリターンが期待できる点があげられました。

また、農山漁村が企業のサプライチェーンに組み込まれているケースでは、インパクト証明書が農山漁村と企業を結ぶ「関係性」を証明する手段としての側面に有効性がある点が強調されました。証明書の取得は、企業メッセージとして顧客にアピールできることに加え、従業員のモチベーションの向上、顧客や農山漁村との関係維持・強化にも資するとの期待が示されました。

こうした企業の実践を制度面・開示面から支える観点として、企業の取り組みを一過性の活動としてではなく、会社としての体制整備や情報開示の仕組みの中に組み込むことに価値があるとの指摘もなされました。特にコーポレートガバナンス・コードで明記されているように、「企業はその価値創造において、様々なステークホルダーからリソースを頂いている」という意識のもと、ガバナンスや情報開示の体系の中に農山漁村の取り組みを位置づける事で、企業の信頼性や透明性を高められる点が共有されました。また、証明書を取得する過程そのものが、そのようなガバナンス・体制整備にもつながる点もあげられました。

さらに、このような体制整備や開示が、企業価値や金融市場での評価にどのように結びつくかが企業にとって重要な関心事であるとのポイントも出されました。格付機関の視点からは、取り組みがキャッシュフローに直結するかという視点で見ると課題があるが、インパクト証明書をインパクトファイナンスにつながる外部評価の一つとして活用し得ること、そしてそれが企業価値向上につながる可能性があることが示されました。 

・ディスカッション 
議論テーマ①:証明書の取得をどのように財務メリットにつなげるか

まず、インパクト証明書を申請・取得する企業の立場から、主に財務メリットや認知・制度面の課題について議論が行われました。企業からは、証明書の取得が投資家・株主からの評価向上や資金調達条件の優遇といった財務メリットにつながるのかが、最大の関心事項として示されました。

制度・開示の観点からは、直接的な財務メリットは現時点では必ずしも明らかではないものの、サステナビリティ情報開示の潮流の中で非財務情報の重要性が一段と高まっている点が示されました。またこうした流れを踏まえると、中長期的な企業価値評価と結び付けていくうえで、インパクト証明書が果たし得る役割は大きいことが指摘されました。

金融・格付の観点からは、インパクト証明書の認知度を高め、その価値やブランドを事業会社や金融機関に訴求していくことが重要な論点として示されました。あわせて、まず都市部の企業・金融機関での認知を確立し、そこから地方企業・中小企業へと広げていく必要性が指摘されました。

議論テーマ②:インパクト証明書申請の課題と活用方法

議論テーマ②では、インパクト証明書の申請・運用に伴う手間(例:ロジックモデルの作成等)や工数の大きさが、企業側にとってのハードルになり得る点について意見交換が行われました。

企業側からは、短期的なリターンが見込みにくい中で、申請や運用のプロセスが複雑だと、現場としてはメリットを感じにくいのではないかという懸念が示されました。これに対し、証明書には企業と農山漁村との関係性を可視化・証明する機能があり、消費者へのアピールにつながる点があげられました。また、申請プロセスの中で自社の取り組みのアウトカムを整理・言語化することで、その内容をより細かく整理できる点も共有されました。あわせて、このプロセス自体を組織内や地域とのコミュニケーションの機会と捉えて活用することも、証明書取得のメリットにつながるのではないかという見解が示されました。

セッションまとめ

セッション終盤では、インパクト証明書への期待と想いが各登壇者から述べられました。この中では、「制度を作って終わり」ではなく、認知度やブランド価値を高め、社会に広く認められるよう官民や関係者が継続的に育てていくことが重要である、というメッセージが強調されました。また、この制度が地域や協働の取り組みを発信する起点となり、地域課題への連携した取り組みを未来へとつなげていく象徴的な枠組みとして機能してほしい、という期待が示されました。

Livelyからのコメント

Founder & CEO 種田 毅

先日開催された「農山漁村」経済・生活環境創成プラットフォーム第3回シンポジウムには1,000名を超える方々にご参加いただきました。ご参加いただいた皆様に、心より御礼申し上げます。

モデレーターを務めさせて頂いた「インパクト×農山漁村~企業の継続的な取組に向けた環境づくり~」のセッションでは、企業による農山漁村での取り組みを、インパクト証明書を通じてどのように発展していくかについて議論を行いました。登壇者の皆様とのディスカッションを通じ、インパクト証明書は、地域と企業の関係性を深化させる「共通言語」として機能し得ることを改めて認識しました。

今後も、インパクト証明書の伴走支援体制やモニタリング方法の具体化を進めるとともに、関係各所との連携・対話を重ねながら、本仕組みの実装・定着に向けて尽力いたします。引き続き、ご支援の程お願い致します。


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