海外拠点への「ビジネスと人権」ワークショップ研修実施
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2024年07月31日
すべての人が、生存、自由、幸福追求のために生まれながらにして等しく持ち、誰にも侵されることなく、誰に対しても侵してならない当然の権利が「人権」です。人権と聞くと難しい印象を受けがちですが、日々の暮らしに身近なものであり、企業活動の場でも尊重し/されなくてはならないものです。企業を構成する社員一人ひとりが人権への当事者意識を持つこと、それがひいては事業に関わるすべての利害関係者(ステークホルダー)の人権が尊重される企業風土を醸成し、「国連ビジネスと人権の指導原則(以下、UNGP)」で求められている企業の人権尊重責任が果たされていくと考え、ワークショップを実施しました。
「ビジネスと人権」ワークショップ研修実施のねらい
クライアントである大手資材メーカーによる人権デュ―・デリジェンス(人権DD)対応への伴走支援の一環として、海外拠点の一つであるマレーシアの子会社で「ビジネスと人権」についてのワークショップ(以下、WS)をオンラインで実施しました。参加者である担当者にとって、実務での必要知識にとどまらない学びの獲得や人権への当事者意識が芽生えることを意図し、「ビジネスと人権」に関するワークを提案。経営陣にもWSに同席してもらうことで、事業活動における人権の大切さや対応がより実効的なものになることを目指しました。
クイズやワーク、ケーススタディを中心にワークショップを実施
WSは2部構成としました。前半は、参加者7名の「ビジネスと人権」への関心を引き出すために、事業活動における20の人権リスクテーマ、バリューチェーン上の人権リスクに関するクイズやワークを中心に行いました。後半は、人権DDの進め方の理解を得ることを目的に、関連産業で顕在化した人権リスク事例によるケーススタディに取り組み、リスク防止・軽減対応について考えた上で、UNGPについての概要 – 人権へのコミットメント、人権DD、負の影響に対する救済 – について動画学習をし、最後にWSのふり返りで締めくくりました。
研修の感想紹介-人権への当事者意識が芽生える機会提供
WS終了後、参加者全員から「ビジネスと人権」への理解が以前より深まったと回答があり、人権に対応することの重要性を認識してもらえました。”人権を守るのはサプライヤーを含めた企業全体の責任である”、”女性管理職数や労働組合が人権尊重に貢献していると気づいた”といった感想も寄せられ、さらに、”作業環境や取引先対応に人権を考慮すべき”、”多くのサプライヤー実態をどう把握していくか”などの課題が見えてきました。WSによって、人権への当事者意識や人権に主体的に取り組む姿勢を担当者が持てる機会を提供できたと実感しています。
出典
世界人権宣言テキスト 国際連合広報センター
中野民雄(2001)「ワ-クショップ- 新しい学びと創造の場 」岩波新書
法務省「人権尊重の理念に関する国民相互の理解を深めるための教育及び啓発に関する施策の総合的な推進に関する基本的事項について(答申)」
“TRAINING FACILITATION GUIDE HUMAN RIGHTS DUE DILIGENCE”
担当者からのメッセージ
クライアントである大手資材メーカーの東南アジア拠点における「ビジネスと人権」ワークショップは、参加者が実務に留まらず、人権に対する深い理解と当事者意識を醸成することを目指しました。参加者が業界固有の人権リスクをクイズやケーススタディを通じて体感し、UNGPに基づく人権へのコミットメントと実践的な対応方法を学びました。WS後のフィードバックでは、参加者が人権への取り組みの重要性を深く理解し、具体的な課題にも目を向ける姿勢を示しました。今後もサプライヤーとの協力を通じた持続可能な人権対応に向けて、さらに具体的な行動計画を策定していくことが重要です。ご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。